ある社員の葬儀

ある社員の葬儀

令和2年に亡くなった社員のこと。
彼は、髄膜炎を患って以降、体調が優れず退社した。それでも、収入に不安があるようなので、
葬儀が入ると、必要なくとも「現場の手伝いを頼む」と言って、現場の手伝いのために読んでいた。
そして、少しばかりのアルバイト代を渡していた。
令和2年の始め頃には、「体調が悪いのでお手伝いもできない。私も、そう長くは生きられない」と弱音を吐いていた。
その頃から、彼は、過去にお世話になった葬儀社に電話して長電話をするようになった。
彼は、大学卒業後、一ヶ月だけ区役所に務めたあと、公務員を辞めて葬儀社に就職した。
以来、幾つかの葬儀社を転々としていた。
弊社にも、電話が掛かってきた、特に用事もない様子だが、とにかく話が長い。遂に40分を過ぎてからようやく電話を終えた。
数日後、再び電話が来た。また用事もないのに話が続く。20分を過ぎたころ・・・彼は、突然、口調を変えて言った。
「もう電話は終えます。貴方が私の長電話を嫌がるような人でないことが分かった。他の社長は、嫌がって電話を切ろうとしていた。私も、そう長くは生きられない。葬儀は貴方にお願いする。もう、電話はしません」
数か月後、彼の息子から電話が掛かってきた。「あの~〇〇と申します。父がお世話になっていた葬儀屋でしょうか?」
「はい、そうですよ」・・・彼は、息子に「巣鴨の〇〇葬儀社」と伝えていたが、社名は失念していたため、インターネットで調べて、見当をつけて電話をしてきたのだという。
家族葬で質素に、しめやかに葬儀も済んだ。
彼は、最後に自分の葬儀を託せる葬儀社を自分であちらこちらに電話して、彼なりの検証をしたということでした・・・。
意固地な性格の気難しさのある職人気質の人でした。
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