「自殺したい」と葬儀社に電話してきた人

自殺願望の人から電話

もう何年も前のことですが自殺願望の方から電話がきた。「M」さんとしておきます。
もちろん会ったことはない。
聞けば「自殺したい」という。
「どんな方法で自殺するんですか?」と尋ねると・・・・
「う~ん」と明快な返事はない・・・。
そこで、私は言った「多いのは首吊りと飛び降りですよ」
すると「そうですか・・・」という。
更に言った「首吊りはやめた方がいいですよ、その部屋は特殊物件として不動産屋は説明責任が生じます。そして、その後の家賃が下がってしまいます。大家さんに迷惑がかかります」
すると「そうですね・・・それは駄目ですね・・・じゃあ飛び降りは?」
「飛び降りは痛いですよ」
「でも死んでしまえば痛みも分からないでしょう」
「いや、死ねばいいけれど、死なない人もいますよ。そしたら相当に痛いです」
「え・・・そうなんですか?」
「はい。楽なのは睡眠薬などの薬品です・・・でも今は、そういうことで使われないように簡単には売ってくれません」
「そうでしょうね」
「富士山の樹海に入ってゆくのはどうですか?」
「それはね・・死ぬまで何日もかかるし、それまでにはお腹も空くし・・・お勧めできません」
「そうですか・・昔は教会で聖歌の合唱団に所属していたんですが、・・・キリスト教では自殺はダメって言うんですよね、だから最近は言ってないのです」
「そうなんですか、でもまた教会に行って合唱団に復帰して歌を歌ったらどうですか、少しは気が晴れると思いますよ」
「う~ん、そうだな・・・また教会に行ってみようかな・・・あんたいい人だね・・・」
と言って電話を終えました。数日後、再びでんわが来て、何のことはない世間話をしました。
結局、人一人の命を救ったようです。
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